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遠未来SF連作短編集サイト版
(後書:高村暦
価格:700円
規格:カバーつき文庫(A6)
頁数:296頁
プレレビュー / イメージイラスト

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- プレレビュー -
発刊に先立ち、プレレビューにご協力いただきました。
ご快諾くださったレビュアー様に感謝を。
(一部ネタバレ部分は割愛しております)

・「アストロの丘」g様
  SFは全く専門外の分野なのですが、あまり小難しい設定なども出てこなかったので、すっと大まかな世界を把握することができました。
  主人公とシスルのやりとりが心地よかったです。これはとても良いハゲ!(何
 
  主人公のスタンスが非常に現実的で、ほのめかされてるだけの過去が忍ばれるようでした。
  そのスタンスのお陰で陰謀や謎めいた話が次々発生するにもかかわらず、真相はさっぱり明らかになっていかないので少しもやっとしました。
  でもそれらの謎に関して見過ごして忘れるという選択を取るのが彼なんだろうなぁと。
  話の中の端々でそのスタンスに徹しきれていないのもとても人間味を感じました。
 
  最後の話で一気に色んな謎が解けるのか!と思わせておいて、結局深くまで突っ込んでいかないのもまたとてもらしいと思いました。(正体がアレなので深く切り込んでも何ともならないのですが!(笑))
 
 
・「Ricka」楠園冬樺様
 アンソニーが可愛いです! 外見を考えるとかなりシュールなのですが、言動の端々からどことなく育ちの良さというか人の好さのようなものがにじみ出ていて、小さい子にするように頭をなでくりまわしたくなります。一匹(?)欲しい……。
 
  連作短編で時系列シャッフルがされているのに最初少し驚いたのですが、通して読むと、ああそういうことかと納得しました。こういう構成での見せ方も面白いなぁと。
 
  物語から感じた色彩は、少しセピアがかった灰色のイメージ。
  それは滅びかけの世界であるからということだけでなく、虚無的な隼の目を通して語られている世界なので、よけいにそう感じられるのかなと思いました。
 
  最初に隼が「聞こえる音が」云々と語った時はどういう意味だろうと思ったのですが、読み進めていくうちに納得。一人びとりが奏でる「音」「旋律」が鍵になるので、「音律〜」というタイトルなのか、と。
 
  全体を通して読み終わった時に感じたのは、ドーナツのようなお話だな、でした。
  中心に据えられている何か大きな事件や謎が直接的に語られることはなく、最後まで空白のままはっきりと明かされることはないので、周囲をぐるぐると回ってそこに何かあるのだなと朧な輪郭を想像する物語になっているなと。
  もちろん、全編を通して追いかけられていく謎はきちんと解き明かされているので、消化不良に陥ったり不満足を感じたりすることはないのですが。
 
  スピンオフまたは番外編的な短編集という位置づけのように感じられましたので(おそらく意図的にそう書かれているのだと思いますのでみごとに罠にはまってますが)、本編にあたる物語も読んでドーナツの穴部分にあたる謎の答えを知りたいなと興味を惹かれました。

  貴重な作品を読ませていただきましてありがとうございました。面白かったです。
 
 
・「HONKY-TONK」三日月理音様
  物語は〈大人災〉以後、崩壊した世界を舞台に『運送屋』藤見隼が行く先々で見たこと、体験したことを一人称で綴っていく。助手席には不特定多数の人間が乗るが、一番多いのは坊主でミラーシェードをかけたシスル。
  私は存じ上げないのだが、これは続き物でもあるのだろうか。とはいえ、煙った世界をごとごと行く隼の視線(物語)は心地いい。ウェット過ぎず、ドライすぎず、ただ、あるがままを受け入れ、ときおり、おののく。いい悪いの善悪なぞ、ほとんど関係がない。
  そういった清濁併せ飲んで生きていく隼やシスルそして登場する面々が、物語に彩りを与えてくれる。といっても、それは極彩色の美しい色合いではなく、くすんで煤けた渋みのある色だ。それを好ましいという人は、この『音律歴程』読んだ方がいい。
  音がキーであるが、作中にも様々な音色が登場する。『わたしのお気に入り』を歌うあの人、Cの音色、リードの音色……色が、くすんだ世界を覆う。
  そして、歴程とあるように様々な時間を短編という形で切り取っている。物語開始冒頭に記された〜年を見比べていくと、あのとき登場したあの人がこんなところに!?とか、この人の由来はこうなのか!という感慨が沸く。そして、シンデレラの行方は誰も知らないのだ。
  そんな『音律歴程』はF-11,12で購入できる!!文フリ参加者の方はぜひとも覗いてみて欲しい。灰色の世界に生きる人々の、ちょっと気だるい人生が見える。

 

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